剣道の試合で使われるフェイント
剣道においてフェイントはあまり良しとされていることではありません。
しかし、試合で勝ちぬいていくため、試合を上達させるためには必要な技術でもあり、逆にフェイントを仕掛けることができるほど器用な竹刀操作ができているという捉え方もできます。
1.フェイントとは
そもそも、剣道におけるフェイントとはどのようなものをいうのかというと、打突の拍子を変えて打ったり、ある打突部を打つ素振りを見せて全く別の打突部を打ったり、竹刀を担いで打ったり、と様々です。
オリジナルのフェイントを生み出している人もいますが、剣道の基本的なフェイントは竹刀を用いて相手の視線を惑わせることだと思います。
フェイントを用いて打突の機会を作っていくのです。
フェイントによって大体の人は居付いてしまったり、心が乱れたり、実を失って虚となったりします。
居付くとは、心身の活動がにぶり、瞬間的に一時心身の活動が停止する状態のことをいいます。
心が乱れるとは、驚・懼・疑・惑(四戒)の心が生じ、無新ではなくなること、つまり心に邪念が生じることをいいます。
実を失って虚となったところというのは、心の動揺によって、充実していた気力が抜け、心身が空虚になったことをいいます。
フェイントとはこれらの状態を相手に及ぼすことができる一つの技術です。
しかし、フェイントは冒頭でも記したように、決して推奨できるものではありません。
相手に勝つための一つの手段ではありますが、フェイントばかりに頼ってしまうと、正々堂々真っ直ぐな剣道が身につかず、勝利に走りすぎてしまう剣道になりかねません。
剣道の正しい上達を目指すのならば、フェイントはあまり重んじてやるべきものではないです。
フェイントはあくまで一つの手段という程度で頭の隅っこに置いときましょう。
積極的に使うものではありません。
相手を居つかせたり、相手の心を乱したり、実を失わせて虚とさせるのも、本来ならば正しい攻め方を身に付けていればできることです。
ですから試合に変化をつけたり、どうしても相手に隙がなく手段がない時に使ってみるようにしましょう。
2.よく使われるフェイント
フェイントといっても、高段者になればなるほど使われないもので、主に小学生から高校、大学ぐらいまでなら使う人がいると思います。
試合に勝つことを重んじやっている世代に多く見受けられます。
小学生がよく使うフェイントには、鍔迫り合いから引き胴を打つ素振りを後ろに下がりながらして、相手が胴をよけたところを引き面というのがあります。
中学生や高校生に多いのは、竹刀を担いだり、竹刀の方向を変えて打つものだと思います。
表を攻めて裏に返して打つようなものだったり、竹刀を大きく担いで相手を居つかせたところを面打ち込んだりするものです。
また、竹刀の剣先を下に落として面を打ち込むなど、方法は様々です。
3.まとめ
フェイントは竹刀の方向を器用に変化させて、相手の目線を混乱させるテクニックです。
そのフェイントをより効果的に行うために、自分で試合展開など工夫すると試合も上達すると思います。