剣道の応じ技が上達する練習メニュー
剣道には「受け」などの防御のみの技は存在していません。
なぜなら相手の攻撃に対してはそのすべてに対して返し技があり、それらを「応じ技」と呼んでいます。
相手の攻撃を制しつつそのまま反撃することができる「応じ技」は、試合においても強力な決まり手となるため十分に練習したいものです。
では、そんな応じ技を上達させるためにはどのような練習メニューがあるのでしょうか。
1.まずは「応じ技」の種類を知ろう
剣道でいうところの「応じ技」には、大きく分けて「返し技」、「すり上げ技」、「抜き技」、「打ち落とし技」の四種類が存在しています。
まずはこれらのバリエーションのすべてを基本打ちで徹底的に練習して、その感覚をつかみましょう。
約束稽古ではあらかじめ「面に対する応じ技」や「小手に対する応じ技」などを決めて、基立ちに打ち込んできてもらいます。
面に対してならば「面返し胴」、小手に対しては「小手すり上げ面」など、あらゆる応じ技を網羅するのが望ましいでしょう。
ここで上達のために重要なのは、あらかじめ打ってくる技が決まっているとはいえ、実戦のつもりで臨むことです。
試合ではもちろん、相手がどんな技を放ってくるかは分かりません。
したがって、いつどんな技を打ち込まれようとも即座に反応できる体勢を目指します。
また、相手が途中で技の軌道を変えて防御できないよう、ギリギリまで引き付けて応じ技をつかうような工夫も上達への重要なポイントです。
2.慣れればランダムに打ち込んでもらい、応じ技を練習する
一通り応じ技の練習を積んだならば、今度は基立ちにあらかじめ決まった部位ではなく、自由に打ち込んできてもらい、それに即座に対応して最適な応じ技で反撃するようなメニューを組みます。
こちらからすると相手がどこを打ってくるか分からないため、より実戦的な練習法と言えます。
基立ちはできるだけ実戦に即した打ち込みを心がけ、相手から確実に一本を取るくらいのつもりで攻撃します。
単発の技だけではなく、竹刀を払って小手・面や、面とみせて小手、あるいは担ぎ胴などの大技なども織り交ぜ、できるだけバリエーション豊かな状況を想定することが肝心です。
3.得意な応じ技を磨き、相手を誘いこむ戦術を身に付ける
剣道では相手を「引き出して打つ」ということが重要だとされています。
つまり、こちらが意図した技を相手に出させるよう誘導し、その狙い通りに打ってきたところを兼ねて用意の応じ技で迎え撃つ、という高等戦術を表しているのです。
どこを打ってくるか分からないタイミングを待つより、あえて意図的に特定の部位を打たせるように仕向けることで応じ技が決まる精度も格段に向上し、無駄のない勝ち方ができるということでもあります。
「達人」と称される剣士はこのような相手を引き出して打つ方法に精通しており、応じ技上達のカギもここにあると言えます。
まずは何か一つでも自分の得意な応じ技を身に付け、それを使えるようなシチュエーションに持ち込むような戦術を工夫しましょう。
例えば「面返し胴」が得意であれば、相手に面を打たせるような誘いをかけ、その体勢に持ち込んでいくといった戦い方です。
技術的な面だけではなく、このような戦略や試合運びを意識することも上達への効果的な方法です。