剣道の出鼻技が上達する練習メニュー
相手が攻撃をしようと動き出す、その瞬間を狙って放つ技を剣道では「出鼻技」と呼んでいます。
あくまでも「動き出す瞬間」であって、「動いてから」ではないところにこの技の妙があり、相手が無防備となる貴重なチャンスでもあるため、ぜひ修得したい技でもあります。
では、出鼻技が上達するためにはどのような練習メニューをこなせばよいのでしょうか。
1.相手の「起こり」を的確に捉え、迷いなく打ち込む稽古を
剣道の出鼻技の要諦は、相手が動き出す瞬間にはすでにこちらはいつでも飛びこめる体勢を用意しておき、好機が来たら躊躇なく踏み込んで技を放つということにあります。
大まかに言えば、相手が一歩攻めて、打ち込んでくるという「1、2」の動作を起こすとすれば、こちらはその場からそのまま「1」の拍子で攻撃を仕掛けるというタイミングを表しているのです。
したがって、いつでもそのまま大きく踏み込んでいけるような、十分な「溜め」と左足への体重のかけ方がポイントとなります。
普段の練習では「出鼻技」に特化した約束稽古の時間を設け、基立ちには一歩攻めて面などあらかじめ決まった技を打ってきてもらいます。
こちら側はそれに対して、相手が動く瞬間、すなわち「起こり」を捉えて出鼻技を放つように練習します。
上達に伴い、相手の打ちを待つのではなく、こちらから誘いをかけて相手の打ちをわざと引き出すような遣い方を身に付けていくことも肝要です。
そうすれば面なら面と、自分が望む部位を打たせて狙った通りの技を決めることができるようにもなります。
2.感覚を研ぎ澄ませ、目に見えない「起こり」を捉える
剣道では一口に「起こり」と言っても、相手が動き出す寸前であれば目に見えない部分が圧倒的に多く、これをどのように感知するかが最大の課題となります。
古来から、そのような目に見えない起こりの瞬間を「色」や「照り」などといった言葉で言い表し、いわゆる「気配」のようなものを捉えることが肝要とされてきました。
しかし、よくよく観察するとそのような起こりの瞬間にはさまざまな微妙な変化があり、それらを総合的に察知することで出鼻技を成功へと導きます。
「未発の発」と呼ばれるように、ごくわずかな変化が体勢や雰囲気に表れ、その違いをよく観察することです。
「打とう」という気配が無意識のうちに体勢に影響し、わずかずつ前傾の度合いが高まる、攻め合いの中で不自然に竹刀のガードを緩めたような素振りを見せる、瞬間的に息を吸いこんで、肩がスッと上にあがる、などの微細な変化に注意しましょう。
知らず知らずのうちに、そのような予兆が身体に表れてくるものです。
そこで、逆に自分自身はそのような変化を相手に悟らせないよう努めることで、出鼻技をより確かなものへと高めることを目指します。