剣道の切り返しが上達する練習メニュー
「切り返し」は剣道をしている人なら必ずと言ってよいほど行っている、非常に効果的な伝統ある練習方法です。
正面を打ち込んで体当たり、その勢いのまま左右面打ちを前進後退織り混ぜて繰り返すという、打ち込み稽古の一種でもあります。
とてもシンプルな運動のように見えますが、「切り返し」には剣道に必要なすべての要素が含まれているとされ、切り返しの上達イコール、剣道の上達とも言えるのです。
では、切り返しが上達するためにはどのような練習メニューがあるのでしょうか。
1. なぜ、「切り返し」で剣道が上達するか
切り返し上達のためにはまず、なぜ切り返しを練習することで剣道が上達するのかを考えてみましょう。
古来から、切り返しは「打ち込み十徳、受け八徳」といわれており、打つ側も受ける側も双方ともに多くの効果があることが知られてきました。
たとえば、連続した打ち込みで手の内や筋力が鍛えられ、動きながら確実に同じ部位に当てていくため間合いにも明るくなります。
また、長く息を吐き出すため心肺機能やスタミナを高める練習としての効果もあります。
これらの効能と、練習の目的を明確にして切り返しを行うことが肝要です。
2. 基本を見直し、左手を中心から外さない
切り返しは面を着けての稽古のはじめや終わりに行われることが多く、身体をほぐしてその後の稽古に備えたりするのにも最適な運動でもあります。
しかし、漫然とウォーミングアップやクールダウンとして行うのではなく、基本を見直して動作をより練り上げるための鍛練であることを意識しましょう。
具体的には、左右面打ちの際に決して左手を自分の正中線からはずさないよう、なおかつ大きく速い動作を心掛けることです。
何度も繰り返して打ち込む間に、ついつい体勢が崩れたり左手が大きく中心から外れたりしがちです。
また、速く打とうとするあまり、振りかぶりが浅くなることもあるため、大きな動作を保持するよう注意します。
正しく切り返しができるということは、すなわち正しい剣道ができるということでもあります。
切り返しの上達は剣道の上達であることを忘れずに、正しい方法を守ることが大切です。
3.左右胴の切り返しを採り入れる
通常の切り返しは、連続して左右の面を打っていきますが、そうではなく左右の胴を打つ切り返しの方法もあります。
より大きく竹刀を旋回させて鈍角の軌道で打ち込むため、返し技などに必要な強靭かつ瞬発力のある手の内を養うのに適した練習法です。
左右面と左右胴、それぞれ異なるバリエーションの切り返しをうまく組み合わせて練習メニューに採り入れるとよいでしょう。