剣道のすり足が上達する練習メニュー
日本の武道独特の足さばきである「すり足」。
剣道でも入門後、一番はじめに練習するのがこのすり足であり、剣道のすべての動作の基礎となる「剣道の命」といっても過言ではありません。
剣道の素早い動きを支え、安定した姿勢から即座に攻防を行えるこの足さばきを上達させることは、剣道そのものの上達にとって要となる課題であると言えます。
では、すり足が上達するためにはどのような練習メニューをこなせばよいのでしょうか。
1.常に一人稽古ですり足を意識すること
すり足は剣道を始めると最初に十分な練習時間が設けられ、はじめのうちはそればかり練習する、ということも珍しくありません。
しかしやがて防具をつけての稽古に移行し、剣道そのものに慣れてくると、すり足のみに多くの時間を割くことをしなくなる場合もあります。
そこで重要なのが、全体練習以外での一人稽古で、すり足に対する意識付けを常にしておくということです。
道場や体育館の動きやすい床板であれば申し分ありませんが、そうでなくとも可能な範囲で実行し、毎日の積み重ねを得ることが肝要です。
例えば自室の畳の上や、屋外の土の上でも動作そのものは可能なため、「感覚を研ぎ澄ませる」ことを目的として常にすり足を意識するだけでも効果的な練習となります。
2. すり足の要諦は「ポジショニング」にあり
すり足を行う際に注意しなくてはいけないことの一つに、「水平移動」を心がけるというポイントがあります。
これは安定した姿勢が淀みない攻防動作を実現するため重要な点であり、これらのバランスや重心の置き方こそがすり足の要諦であるとも言えます。
すり足がうまくできなかったり、苦手だという悩みの多くには、「うまく足がすべらない」、「身体が大きく上下動する」といった事例が見受けられます。
ですが逆に言えばこれらの問題を解決することがすり足の上達、ひいては剣道の上達をもたらすため、十分に工夫・研究する機会であると考えて前向きに取り組みましょう。
まず、「うまく足がすべらない」という悩みについては、足の裏と床との距離を意識してみましょう。
すり足、とは言いますが、語感通りに足を床に擦りつけて移動するわけではありません。
「紙一枚」と例えられるほんのわずかな隙間を作るような感じで足を運び、あたかも床の上を滑るかのような軽やかなステップを身に付けることが肝要です。
また、「身体が大きく上下動する」という悩みについては、「すり足の歩幅」を見直してみましょう。
歩幅が大きくなればなるほど身体の上下動は激しくなり、腰から水平移動するような体勢をキープすることはできなくなります。
すり足の基本に立ち返ってみてみると、いつもの歩幅と比べてずいぶんと小さいことに改めて気づくはずです。
その歩幅を一定に保ち、連続して移動することで身体の上下動は最小に抑えられるようになります。
普段の稽古でもこれらのことに十分注意してすり足を行うことで、剣道の上達が実感できるようになっていきます。