剣道で腰から打てるようになる練習メニュー
剣道では「腰から打つ」、「腰で当る」、「腰で攻める」などのように、「腰」というキーワードが頻出します。
姿勢をまっすぐにして腰から水平移動するように打ち込む正しいフォームは、ある種の「美しさ」をも感じさせますが、それには重大な意味があるのです。
剣道で重要視される「腰から打つ」ことを可能とするためには、どのような練習メニューがあるのでしょうか。
なぜ「腰」が大事なのか、という理由も踏まえてお知らせしたいと思います。
1.「腰から打つ」とはどういうことか
まず、「腰から打つ」というのはどういう状態のことを指しているのかを正しく把握しましょう。
剣道では両手を伸ばして打ち込んでいくため、相手を一瞬でも早く打ち込もうとするあまりに前傾姿勢に陥りやすくなることがあります。
特に剣道を始めたばかりの人で、打ち込みに慣れてきてスピードを体感できるようになってくる時期に多く見られる悪癖の一つです。
上体だけが先に出てしまうと、いわゆる「へっぴり腰」の体勢となってしまい、たとえ竹刀が相手の部位を捉えたとしても姿勢が不十分なため、打ち込みの力も十全に発揮されず、「気・剣・体」の「体」が不全だとみなされて有効打とはなりにくくなります。
そればかりか、相手に攻撃をかわされたり捌かれたりした場合には、こちらの体勢が崩れているため容易に反撃ができず、ともすれば逆に打ち込まれるというリスクも高くなります。
いわゆる「腰から打つ」という状態は、背筋を伸ばしてしっかりと左足で踏み切り、腰からまっすぐ前に出るような動作で十分な運動エネルギーを竹刀に伝え、攻撃の前後で姿勢に乱れがなく、いつでも次の攻撃・防御に対応できる体勢をキープすることを指しています。
このような打ちは「腰の入った」打突ともいわれ、身体全体を使った攻めが活きるため、相手に対しても反撃や防御が容易でなくなるプレッシャーを与えることができます。
したがって「腰から打つ」ということは、剣道の上達にとって重要な鍵となるのです。
2.腰から打つためには「体固め(たいがため)」の練習を
では、腰から打てるようになるためには、どのような練習メニューが効果的でしょうか。
おすすめの方法としては、「体固め(たいがため)」という素振りの一種を徹底的に行うことが挙げられます。
体固めとは、中段の構えから大きく竹刀を振りかぶり、左足をその場に残したまま深く右足を踏み込むと同時に正面に打ち込み、一拍おいて残心を示して右足を引き、元の中段に戻ることを繰り返すものです。
打ち込んだ姿はちょうど深くアキレス腱を伸ばす時のような状態となります。
この時、上体をまっすぐにして腰から前に出る感覚を重視し、踏み込みと打ち込みが同時になるよう注意します。
この体固めを十分に行うことによって腰の入った打ち方を身体に覚え込ませ、普段の練習で繰り返す打ち込みに反映させることを目標とします。
上達の要は「腰」にあり、とも言われることから、ぜひ採り入れたい練習メニューです。